精神の発達
人間は他の動物と比べると、生後の発達は驚異的で、
身長・体重とも20倍近くになる。脳の重さも、400㌘
からから1300㌘前後になる。
しかし、脳細胞(ニューロン)は母体内で分裂と増殖
を完了していて、脳は20歳過ぎに完成する。
そのため、親に依存する期間が動物に比べてきわめて長い。
その間の様々な体験が記憶され、以後の成長に深く関連
しながら、その人らしさを形成する。
乳幼児期(0歳~5歳)から児童期(6歳~11歳)
親からの分離と個体化過程である。つまり、母親への全面的
依存と愛着行動からスタートし、やがて母親の分離不安、環境
の認識と不安、1歳過ぎてからのしつけ(トイレなど)、生活
訓練、教育などの未知の世界を体験していく。
この時の不安を乗り越えながら成長するのが個体化過程である。
この間に、触覚・聴覚に続いて言語が発達し、母親をはじめ、
周囲の人とのコミュニケーションが拡大していく。
これは精神の成長の重要な指標となる。
乳幼児はこのような心身の成長プロセスを経て、自我の自律性
とコントロール、現実の認識や批判などが発達していく。
4歳を過ぎると男女の性差を意識し、両親に対してある敵意を
持ち、不安・葛藤状態となる。
これをエディプス・コンプレックスという。
ここをなんとか乗り越えると、比較的安定した児童期となり、
自我の確立、身体の成長、行動の拡大がみられ、友達とスポーツ
や勉強、社会訓練に打ち込んで競争の努力が払われることになる。
しかし、神経症レベルの子はグループに溶け込めず、取り残さ
れて劣等意識が形成される。
これで小学校時代が終了し、思春期という中学時代になる。
思春期(12歳~15歳)から青春期(16歳~18歳)
この期は親からの分離と独立、性の発展期である。
つまり、男らしさ女らしさが分化し、第2次性徴によって
性が自覚され、身体の成育につれて性的衝動も強まり、
自己愛が異性愛に向かう。
その間、友人グループの中に自我の確立を求めて友人を
理想化したり、また反抗的な自己顕示の言動もみられて
くる。
そして、親へのコンプレックスによって親から遠ざかり
はじめ、自分の性的衝動と不安を、抑圧、反動形成と
いった心理規制によって克服しようとつとめる。