敏感な子HSP
「ハイリーセンシティブチャイルド(HSC)」。
感受性が豊かで、他人の気持ちによく気がつく一方、
周囲の刺激に敏感で傷つきやすい、「人一倍敏感」な
子どもを指す言葉だ。
5人に1人存在すると言われるが、周囲の無理解に苦しむ
ケースが多い。
HSCとの関わり方を検証してみる。
「5人に1人」
HSCは、米国の心理学者A氏が提唱した概念だ。
A氏の著書によると、HSCには下記に示す4種の特徴が
あるという。
① 深く考える。
② 過剰に刺激を受けやすい。
③ 感情の反応が強く、共感力が高い。
④ 些細な刺激を察知する。
個人差はあるが、例えば靴に入った砂やタグが痛かったり、 怒られている人がいると自分も不安になったりする。 病気や障害ではなく、生まれ持った気質だ。 日本では、平成27年にA氏の本が翻訳されたのを機に、 子育てに悩む人を中心に知られるようになった。 A氏の本を翻訳した心療内科医は「5人に一人存在する と言われ、海外では研究が進んでいる」。 医学的な概念ではないため、治療の対象ではない。 「知覚過敏などの特徴が発達障害と共通するが、人の 気持ちに気づきにくい発達障害と、HSCは違う。」 と指摘する。 A氏の日本語ホームページにセルフテストがある。 子どもがHSCか判断したい親のための質問もある。
周囲の無理解
HSCとどう向き合ったらいいのだろうか。 心療内科医は「嫌がる事を無理にさせるとパニックに なる。安心できる環境を提供して」 とアドバイスする。 ただ、必要以上に心配するため、「親から見て明らかに 大丈夫なときは、優しく背中を押して」。 敏感さの結果、傷ついたり疲れたりして「わがまま」と 誤解されることも少なくない。 「この子はこの子でいいと線を引くと、のびのび成長 できる。」 音楽や絵など芸術的才能に秀でていることも多く、 長所を認めて自己肯定感を育む事が大切だ。
押し付けない
一方、TクリックのO院長は「子ども自身も、自分 の性質を理解することが大切」と話す。 HSCは自分の辛さをあまり語らないため、まずは、 子どもが嫌なことは嫌だと言える安心安全な関係 を作ることが大切だ。 見方や感じ方、考え方を尊重し、価値観や判断 を押し付けない。 敏感であるメリットや大切さを伝えると良く、 親子で話し合ってルールを作り、破った時には まず理由を聞くとさらに良い。 O院長は、「HSCを知らないと、病気を治そうと いう視点になる。 HSCだと分かると受け入れることができ、親も子も 楽になっていく。」
と話している。